岩波書店の雑誌『科学』2016年6月号に、「特別企画──日本の原子力安全を評 価する」と題する、大変な内容の、長大な論文が掲載されています。

 執筆したのは、元国会事故調の田中三彦さんですが、現在の肩書きは、「国会 事故調」のKokkaiを(「もう一回」と引っかけて)Mokkaiとし、 「もっかい事故調」世話人となっています。要するに、福島原発事故の徹底的な
検証がなされていない現状で、再稼働など許されるのか、という高度な技術的解 析に取り組んでいるグループが「もっかい事故調」です。

 しかし6月号の『科学』の田中三彦論文は、技術的な問題にととまらず、あら ゆる原子力発電のリスクを評価するという内容ですので、再稼働阻止のための裁 判や、地元の原発反対住民運動に活用できる項目を列記して、これでもかこれで
もかと追及し、緻密に論証したものとなっています。

 伊方原発の再稼働が目前に迫っていますが、仮処分申請が広島県・愛媛県で相 次いで出され、大分県でも来月に出されます。こうした裁判でのこの論文の活用 は、最も有効な手段として使えると思います。

 忘れてしまいがちなことですが、現在の原子力規制委員会・規制庁の審査は、 そもそも日本に原子力発電所を建設できる適地はどこに存在するかという第一条 件を定めた原子力の憲法「原子炉立地審査指針」を抹消して、デタラメの条件で スタートしています。

 そうした根本的な疑問を徹底的に洗い出したこの内容を、一つのバイブルとし てご活用いただけることを願って、以上お知らせします。

 なお、この6月号の『科学』には、やはり国会事故調委員だった地震学者・石 橋克彦先生も、「2016熊本地震は異例ではない──大局的に活動の意味を考え る」という論文を掲載しています。つまり、新聞報道で書かれているような「想 定外の地震が起こった」、「これまでに前例のない・・・」といった文言に対し て、石橋先生が過去の地震記録を徹底的に数えあげ、「嘘を言ってはいけない。 異例ではない。当たり前のことが起こったのだ」と論証しています。

「危険性が 一層われわれの目の前に近づいている」現在への重大な警告です。


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